活動報告

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2016年5月  小宅 哲哉 (第17代・昭和49年卒)  [記事番号:r0193]
東海道中輪歩の記 その5 小田原・箱根  (資料:無し )

東海道中輪歩の記 その5 小田原・箱根編

日時:5月8日~9日

走行者および自転車:
• 17期
石橋(Scott)
小宅(アンカー)
横山(BD-1)
• 18期
鈴木幸治(Opera)
鈴木宏和(Corratec)
遠山(パナソニック)
中村(ビアンキ)

コース:
大磯駅~箱根湯本(距離25km、最高標高192m)~三島(32km、846m)

1日目(ドキュメンタリータッチで)

JR大磯駅に7名が10時15分集合、最後に小宅が到着。幸治君は自宅百合ヶ丘から走ってきた一方、六郷の石橋君は奥様に車で送ってもらった(軟弱者め)。罰が当たりその車がバッテリー上がりでJAF待ち。奥様は石橋に愛想が尽きたと言っていたが、この夫婦愛、羨ましい限りだ。JAFが来たのをみて一同出発。

国道1号を西走し最初に旧吉田邸に寄る。入口の薔薇が綺麗に咲き誇っていた。昼時で腹が減ってきたので大磯プリンスの先に「生しらす丼」の品書きが載っていた大衆食堂えびやに入る。“生しらす”の意味が分からない石橋君は注文に手間がかかり、店員さんに嫌な顔をされた。仏蘭西料理ばかり食べているとこのような目に合う。

その後小田原、この地のエキスパートである横山君と東海道博士の遠山先生の案内で町中を巡る。リニューアルオープンなったばかりの小田原城で集合写真を撮り、北条一族が如く関東制覇を果たそうと明日の箱根越えに意気が上がる。

箱根湯本までなるべく旧東海道を走ったが、そのおかげで黄檗山紹太寺門前を見ることができた。黄檗宗は禅宗の一派で、中国から来た僧隠元は多様な禅文化を日本にもたらした。インゲン豆、レンコン、孟宗竹、そして素菜(精進料理)である。禅的生活とは全然離れている一同(特に幸治君)に禅語の「日日是好日」なる生活を期待したい(この意味は後で述べる)。

1号線に戻りさらに進む。最後尾を走っていた小宅の姿がみえない。フロントギアのバーコントロールが作動せず、ローに落ちない。そういえば昼食時に居合わせたサイクリストが「自転車が倒れている」と言っていた。倒れた時の影響でワイヤーが作動しなくなったようだ。ここは明日に備えてゆっくり直した。

途中コンビニで合流し一服して、ここから急な坂を進む。その後石橋君、横山君がどんどん進み見えなくなる。幸治君、中村君はわき目も振らず何も考えずに走っているようで、本日の宿への分岐点を曲がらずに進む。その後を走っていた小宅は止まれと呼びかけたが聞こえず行ってしまった。宏和君と遠山先生が押してやってきた。幸治君の携帯にかけても必死でこいでいるせいか通じない。禅語でいう無念無想にペダルをこいでいる。諦めるのを待つしかない。ようやく気付いて戻って来たようだが疲労の影が濃い。

さらに不運は続く。宿の「ホテルおかだ」には幾つもの建物があり、予約の建物は横山君、石橋君が最初にチェックインした建物から数100mも離れ、見上げるような急坂を上らなくてはならい。しかも携帯の話込みで皆に遅れた石橋君は、何本もある迷路に迷ってしまう。

全員無事に投宿したのは午後5時。離れの浴場で汗を流し楽しい夕食となった。相変わらず幸治君の禅的生活から離れたお話しがいつまでも続く。17期の朴念仁たちと18期の遊興者たちとの奇妙な会食であった。なむさん。

2日目(映画脚本風に)

1 ホテルの部屋
一同、TVで天気予報の番組をみている。部屋の外は雲が厚く垂れこめている。今にも雨が降り出しそうである。
横山「今日は雨のようだ、皆どうする?」
幸治「帰る、雨に降られたくないし、第一危ないよ、俺、輪行で帰る」
宏和(嬉しそうに)「雨じゃあしょうがない、俺も帰るわ」
中村(考えていたようで)「ん~、俺も帰るわ」
宏和「他の人は?」
遠山「走るよ、雨もたいしたことないだろう」
小宅(あっさりと)「もちろん走るさ、遠山といつも一緒だ」
石橋「嫁と三島で待ち合わせしてるので走らなきゃいけないんだ」

2 ホテルの玄関前
集合写真を撮り、帰るメンバー(横山、幸治、宏和、中村)は石橋、小宅、遠山を見送る。石橋は何かに憑かれたように急ぎ、2人には挨拶もせずに去って行く。

3 畑宿の土産店
雨に濡れそぼった2人が店に入る。店に2,3人の人がいる。
遠山(女性に向かって)「コーヒーありますか?」
女性(困った顔をして)「わかりません」
声をかけたのは観光客のようだった。
別の女性「ありません」
2人はすごすご退散する。

4 七曲がり坂の道上で
雨が強く道路上を流れ、渓流のようだ。踏ん張る足も水で滑ってなかなか進まない。2人は無言で押し歩く。

5 甘酒茶屋
頭のてっぺんから足の先までびっしょりになった2人がよろめいて店に入ってくる。月曜日、それも土砂降りの雨のため店内は静かだ。
小宅(ふーっと一息して)「甘酒ください、ふたつ」
女店員(30歳とみられる三島美人である)「は~い」
小宅と遠山はその姿を見て元気を取り戻す。
小宅(気を引こうと)「今日はさすがに空いてますね、連休は混んだでしょう」
遠山(自分のほうに気を引こうと気軽な調子で)「いつ頃が混んでいるの?」
女店員(小宅に向かって)「そうですね、正月にはお客さんが多いですね」
小宅「ああ、箱根駅伝を見るために。でもあれは1号国道でしょう」
女店員「ええ、箱根神社お詣りの帰りに寄られる人もいるんですよ」
面白くない遠山は出発の用意をしはじめる。
遠山「行こう、遅くなっちゃうよ」
名残が惜しい小宅も仕方なく出発する。

6 芦ノ湖畔の食堂
ようやく難所であった芦ノ湖前の峠を越え、ほっとすると同時に疲れ果てた2人が食堂に入る。
小宅「寒さと疲れで食欲がない、ラーメンがいい」
遠山「俺もラーメンにしよう」
無理に腹の中にラーメンを押し込み、まだ降り続く雨の中を出ていく。

7箱根峠
箱根神社を過ぎ道の駅からすぐの場所である。GSがあったりして景観を損なう。しかも景色は雨のため何も見えない。ギヤ比が軽い小宅が先に来て遠山を待っている。遠山も疲労が濃い。
小宅「は~、やっと着いたな、なんか感慨があまり無いね」
遠山(ぐったりして)「ああ、そうね」
小宅「下りは雨だしゆっくり行こう」
遠山(放心して)「うん、そうね」
霧で5メートル先が見えない道を下る。

8 道路の退避場所
雨とはいえ1号国道であるため車の通行量は多い。道路の白線はツルツル滑る。路肩側は道が凸凹している。
小宅「あ~、ダメだ、手が痺れてきた。寒さで気持ちが悪くなってきた」
遠山(元気になって)「え~っ、俺とても気分がいい。気分がハイになっている。チョウ気持ちいいだ」
不思議そうに遠山をみる小宅。

9 三島大社
長いダウンヒルを1時間以上もかけてすっかり冷え切った2人。小宅は大社前の段差にワッパを取られ自転車が転倒するが、惰性で体だけ前方に突っ込んで行く。その先に3人の女子高生がたむろしていた。女子高生に突っ込む。どうにかその直前で止まり、警察沙汰にならずに済んだ。
遠山「小宅さん、大丈夫? 鼻水が垂れているよ」
殴りかかったが簡単に避けられた。

10 三島駅
本当に精神、肉体、体温とも限界の状態で輪行を組み立てる。小宅がみどりの窓口で出した5千円札が濡れているために、機械を通らない。係員が何度も拭いては試し、ようやく検知された。
遠山「じゃあ、さよなら」
小宅「次は三島からね」
過酷な2人旅が終わった。

以下に今回のコースを記す。
1日目 大磯(集合10:15、出発10:40)~小田原城(14:15)〜黄檗山紹太寺前(15:30)~湯本ホテルおかだ(17時)
2日目 湯本ホテルおかだ(8:40)~畑宿(10:00)〜甘酒茶屋(11:15)~お玉が池(12:00)~芦ノ湖(12:15)~箱根峠(13:50)~三島駅(15:40)

最後に。
今回勇気ある撤退をした方々も次回三島からの参加よろしくお願いします。天気が良ければ湯本からずーっと押し歩いても3時間でお玉が池先の峠に着きます、ぜひ挑戦してください。なお、石橋君の状態がわからず記録できなかったので、簡単に本人からコメントしてください。最後の最後に、「日日是好日」(にちにちこれこうにち)とは、晴れの日には晴れの良さがあり、雨の日には雨の良さがある。どんな日も同じ日はない、一日を精一杯生きようという意味です。苦労の中にその意義を見出す、まさに今回の雨の一日であった。

旧東海道小田原付近 箱根湯本ホテル前
畑宿宿 箱根峠制覇

コメント

2016年5月 鈴木 宏和 (第18代・昭和50年卒)   [コメント番号:m0230]
当方、馬でも越える箱根旧街道は雨で断念しましたが、果敢にもトライされた3勇士の方々「アッパレ!」です。それにしてもつづら折り激坂を一度も降りずに登覇した石橋さんの未だ劣えるどころか益々Power up健脚には、びっくりポン!です。今年の直東リベンジ、完走を祈念します。

2016年5月 石橋 正 (第17代・昭和49年卒)   [コメント番号:m0229]
5月9日おかだや別館を出発してから、当方の “安否” を気遣い何人かの方からメールを戴いた。鈴木(宏和)さん、横山さん、鈴木(幸治)さん、& “東海道53次輪歩の旅 第5回” に参加された皆さんにお礼を申しあげます。そこでここに、小宅君編纂の本編とは別に今回の行動記録として、“自分投稿” させて戴きます。

(東海道53次輪歩の旅の面々と別れてからの概略)

9:45分ごろ見晴らし茶屋到着。汗をかき放題かいたので、上着を取り替えているうちに雨が本降りになる。10:00 甘酒茶屋到着。甘酒を注文し飲む。体が温まる。雨は降り止まず。峠を越え、芦ノ湖へ。関所も何も見ず、三島を目指し、いっきに下る。下りはあまりにも長い坂。水しぶきをたてながらリアブレーキはほとんど引きぱなしの状態で下る。

12時15分前、三島市内に入り、セブンイレブンに入り、ホットコーヒーで一息入れる。嫁さんに電話をいれるが、まだ東京を出られないとの事。雨によりずぶ濡れになり、早くきてもらうように懇願。とりあえず三島駅に。途中うなぎ屋があったので、昼食はうな重を食する。

嫁さんの車が来るまで、ズブ濡れのまま駅の構内にでも居ようと思ったがとてもではないが寒くなってきたので予定変更。駅横に、観光案内所を見つけ、本日予約の “長泉山荘” の場所を聞くが、駅北、20kmとの事、このまま、自転車による走行は諦め、視点を変え、“近くにスーパー銭湯” が在るや無しや尋ねるに4kmの所にあるとの答え。スーパー銭湯 “極楽湯三島店” に全力疾走。

嫁さんが来るまで、風呂に入る事、4度。嫁さんが来たのが、4時過ぎ。ピックアップしてもらいその日の宿 “長泉山荘” に向かう。現在的信条は、自転車走行は去年の “直東” 以来、“雨天走行はしない!” に徹しているのだが、今回の箱根越えは別であった。

思えば高校2年の時、今から、49年程前にこの箱根を越えた事があった。約半世紀前!とどう違うのかを体現しなければ? 単純と言えば単純だがそんな思いで越えて見ようと思った。とりあえず、自転車を押す事もなく、休み2回にして、雨天間走行、峠越えを達成する事ができた。体力の衰えを考えれば、これは、一重に自転車の性能の格段の進歩ということがいえるのだろう。そんな思いをした、2016年5月9日でした。

記録 5月9日全工程
Trip Dist 37.24km
Trip Time 2:22.19
Avgspeed 16.69
Maxspeed 46.9

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